【特集】『ぽぷかる』って何だ!? 長久手で動き出す聖地化の胎動 (2/3)

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2Dと3Dの融合②・公式コスプレで相互乗り入れ

 『ぽぷかる』のばあい、ぽぷかるちゃん始めとした公式コスプレイヤーが存在している。特に語るまでもなく、リアルに飛び出してきた彼女たち! と言ってしまって差し支えないが、これも重要なポイントだ。

 お気づきの人もいるかもしれないが、一般に『聖地が自然発生した』に対して、『ここを聖地にしよう』という逆の因果で攻めるコンセプトなので、コスプレ周りも因果が特殊なことになっている。

 3Dのぽぷかるちゃん、エネミィ様、リニモたんの方がそれぞれ「本家の本人」なのか、逆に2Dの方が「本家の本人」なのか(CVもついているし)、これもまたあいまいな境界だ。鶏が先か、卵が先か。あいまいではあるが、電車でいうところの「相互乗り入れ」みたいな形で2Dと3Dの外の人や中の人や人格が行き来しているのは大きくクローズアップされねばなるまい。

 鶴舞線に赤い名鉄車両が出てきたり、犬山付近で銀色の車両が来て、なんでやねん! と一人ツッコミ入れつつほんのり面白くほんのりフシギな気分で乗車するようなノリである。電車の相互乗り入れは東京はじめ多くの都市で実施されているが、2Dキャラクターと3Dキャラクターが "相互に乗り入れる" 事象というのは、全国的にもあまり例をみない。パッと思い付くのは、千葉県にあるランドのねずみさんだろうか。

 

2Dと3Dの融合③・Linimo&AR

 相互乗り入れだけではない。今年はより一層Linimoとタッグを組み、Win-Winな感じで連携をしているのも見逃せない。

 8月初旬、Linimo 藤が丘駅・八草駅・愛地球博記念公園駅 の3カ所に、等身大に近いぽぷかるキャラクターのパネルが設置された。

 特に藤が丘駅は名古屋方面から豊田方面へ向かう、あるいはその逆で利用者が比較的多いのもあり、ひときわかわいらしい(※独断と偏見です)リニモたんのパネルが改札内に置かれている。八草駅にはエネミィ様が、愛地球博記念公園駅にはぽぷかるちゃんが、同じく改札内に置かれている。いわゆる "萌えキャラ" のパネルが駅に置いてあるというのは、これまた全国でも珍しいというか聞いたことがなく、本来はパンフレットや画面の向こうにいる彼女たちが、(パネルという形ではあるが)コスプレとはまた違う形で、3Dに進出してきている。

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 さらに、3Dと2Dをつなぐもうひとつの企画として、『ARデルダス』(Google Play / AppStore)というスマートフォンアプリを活用して、ポスターに組み込まれたQRコードを読み込み、インターネット経由でクイズに答えるとちょっといいことがあるという、アナログでデジタルな企画も目を惹く。『ARデルダス』を起動して、ポスターのQRコードを読むと、キャラクター別・三種のクイズがそれぞれ出題される(水曜日更新)。クイズもさることながら、この『ARデルダス』には、該当キャラクターとの写真を合成で撮れる機能もあり、さながら、AR<仮想現実: Virtual Reality>で2D⇔3Dが繋がってしまうのだ。ポスターをみかけたら、ぜひ試してみるといいだろう。

 

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  2Dと3D。少しあいまいで、相互に乗り入れて、ARでリンクする。ほかでもなく、みんなでいっしょにやったろまい!という名古屋の言葉がしっくりする。ぽぷかるちゃんを中心とした三人の娘が、ふだん交わることのない場所と場所をつなぎあわせ、窒息気味のサブカルチャーやポップカルチャーの流れに風穴をあけようとしている、そんな気がしてならない。その風穴の先に何があるのだろうか、筆者はとても興味がある。

 

インフルエンサーとインフレーション

 語感が似ているが、決してインフルエンザではない。"Influencer", 影響力のある人、という意味合いで、ここのところ海外のSNS界隈でよく使われているワードだ。Facebookなら「いいね!」「購読者」の数、Twitterなら「RT」「お気に入り」「フォロワー」の数と少なからず相関があるといわれている。

 『ぽぷかる』の弁慶の泣き所はいくつか思い付くが、そのうちのひとつに、

  • 当の愛知県民もノーマークなほどの知名度のなさ

 が挙げられる。なぜ知名度が……という過去の考察はさておき、いまは現状に目を向けよう。今回の『ぽぷかる3』、開催日を前に、やや様相が変わってきた。愛知県や実行委の中の人が本気(と書いてマジ)を出してきたこともあるが、思わぬところから助っ人であり、"インフルエンサー", つまり影響力をもつ人物が登場、愛知どころか全国に向けて『ぽぷかる』の名をとどろかせたのだ。

 

 特に大きな影響をもたらしたのが、イラストレーターの岸田メル (きしだ-) 氏、ライトノベル作家石原宙 (いしはら そら) 氏である。両者とも、愛知の誇るポップカルチャー的クリエイターである。岸田氏は約13万、石原氏は約1千のフォロワーがおり、仮にも両氏がひとこと「ぽぷっ♪」とつぶやくだけでも、全国(全世界?)に点在するおよそ13万人に「ぽぷっ♪ て何だよ! かわいい! 気になるじゃないか!」みたく某千反田さんもびっくりのわたし気になりますパワーがインターネット上に席巻するわけである。

 これとは別に、『ぽぷかる3』のステージでは、インターネットとはまた別方面の有名人も多数訪れてパフォーマンスを行う予定になっていて、それもまた浸透と期待に一役買っているのは言うまでもない。今年は昨年以上に盛り上がることは間違いないだろう。

(続く)

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